はじめに
今回は中国医薬品市場の簡易データベースを基に、中国のがん関連治療薬市場に関して紹介したい。1,000軒弱の医療機関データを拡大試算した売上データなため、実際とは乖離があることを了承いただきたい。
なお対象とした治療薬には抗がん剤だけではなく、がん化学療法により発症する病気への治療薬も含めたデータとなっている。また、売上の大きさ・VBP対象是非といった観点から57種類の医薬品を対象に抽出した。
あくまで全体的な傾向を掴むものとして読んで欲しい。
国家VBPによる影響
上記は国家VBP対象/非対象ごとに、先発品と後発品の売上比率をまとめたものだ。(病院納入ベース)
「VBP対象となった場合、量を確保した後発品の市場シェアは売上ベースでも拡大し、先発品は縮小する」という認識は、このような形でも再確認できる。
こちらは先発品メーカーの2021年売上データを、以下3つに分類したものだ。
① 医療保険:未収載、VBP:対象外
② 医療保険:収載済み、VBP:対象外
③ 医療保険:収載済み、VBP:対象
①と②は先程のスライドの「非国家VBP市場の先発品71%」、③は「国家VBP市場の先発品39%」と捉えてもらってよい。
一般名毎に、がん関連治療薬の売上Top20を抽出した。
VBP-取消とは、中国国家薬品監督管理局による生産現場検査の結果、先発薬がVBP-Inした後に取り消しとなったものだ。
製品毎にVBP前後のMarket ShareやGQCE品目数などが異なるため、上記のVBP-In・VBP-Out品目を単純に比較評価することは難しい。
ただ全体として言えることは、特許期間の長い新薬を上市させて且つ早期に医療保険収載させることが、中国市場におけるポイントと言える。
逆に言うと、中国政府からの外資製薬メーカーに対する期待も同じことが言える。「新薬の中国市場における早期上市」と「医療保険国家談判に伴う薬価引き下げ」。2018年に医療保障局が設立されてからの方針転換の1つだろう。
さいごに
今回は一部データを元に、国家VBPによる影響を整理したスライドを紹介した。
あくまで全体的な傾向を掴むものとして参考いただきたい。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。