はじめに
前回8月14日の本Newsでは、基本医薬品リスト収載品に関する986政策を紹介した。
今回だがこれと関連する政策が出されたので、そちらを紹介したい。
2020年8月13日、国家衛生健康委員会から《基層医療衛生機関の成績審査強化に関する指導意見書(試行)》が発表された。含まれている内容は、社区衛生サービスセンターや郷鎮衛生院に対する経営審査指標(基層医療衛生機関成績審査指標)だ。つまり、基層医療衛生機関の成績審査に関する国家レベルでのプランができたということだ。
ちなみに三級公立医院・二級公立医院に対しても、昨年2019年に同様の指標が発表されている。
・2019年1月に国務院より出された《三級公立病院成績審査業務強化に関する意見書》
・2019年12月に国家衛健委より出された《二級公立病院成績審査業務強化に関する通知》
審査指標の中身(一部のみ)
発表された審査指標システムを見ると、基本医薬品(EDL収載品)の使用状況、抗菌薬の処方比率、注射剤の使用比率などが審査対象となっている。
基本医薬品使用状況
【数値目標】
・各省市にて設定
【計算式】
・基本医薬品購買品目比率=医療衛生機関の基本医薬品購買品目数/医療衛生機関が同期間に購買した医薬品品目総数×100%
・基本医薬品購買金額比率=医療衛生機関の基本医薬品購買額/医療衛生機関が同期間に購買した医薬品の総額×100%
【データソース】
・省級医薬品集中購買プラットフォームまたはその他データソース
抗菌薬処方比率
【数値目標】
・各省市にて設定
【計算式】
・抗菌薬処方比率=抗菌薬を含む処方数/サンプル処方総数×100%
【データソース】
・県(市、区)衛生健康行政部門
静脈注射剤使用比率
【数値目標】
・各省市にて設定
【計算式】
・静脈注射剤使用比率=静脈注射剤を含む処方数/サンプル処方総数×100%
【データソース】
・県(市、区)衛生健康行政部門
中医(漢方医)医師比率
【数値目標】
・各省市にて設定
【計算式】
・中医分類医師比率=中医分類医師数/同期間基層医療衛生機関医師総数
【データソース】
・衛生健康統計年報、中医医療管理統計年報
原則年度ごとの成績審査
《指導意見書》では、基層医療衛生機関の成績審査業務は原則年度ごとに行うことが明確にされている。従事者の審査については、基層医療衛生機関が関連規定に従って行うことになる。
成績審査業務は、「成績審査準備」・「基層医療衛生機関の自己評価」・「成績審査の実施」・「審査のフィードバック及び改善」の4ステップで行われる。県級衛生健康行政部門は、成績審査の結果について基層医療衛生機関にフィードバックを行い、基層医療衛生機関はその結果に基づき改善を行う。改善の状況は翌年度の成績審査の重要な内容となる。
●成績審査準備
審査実施機関および審査人員を確定し、審査手順および業務手配を明確にする。審査人員および審査対象への研修を強化し、成績審査の基本内容や方式方法を徹底する。
●基層医療衛生機関の自己評価
基層医療衛生機関は、成績審査要求に基づき定期的に自己点検を行う。発見された問題に対しては適時改善を行い、自己点検の報告を作成し、審査実施機関へ提出する。
●成績審査の実施
客観データを収集し、データ技術を活用する。さらに、現場での検証・インタビューやアンケート等を合わせながら、成績審査指標システムおよび総合分析に基づいて審査結果を作成する。
●成績審査のフィードバックおよび改善
審査結果は基層医療衛生機関に対してフィードバックが行われる。問題点がある場合は、改善のための意見や提案を行う。また、一定範囲内で公開を行う。基層医療衛生機関は、結果に基づき改善を行い、改善状況は翌年度の成績審査の重要な内容となる。
さいごに
国家も会社も、ルール・仕組み作りは簡単だが、その通りに運用させるのは難しい。
性悪説的な考え方となるが、運用させる手段としてよく使われるのがKPIだ。始皇帝を要した秦で採用されていた“法家”の考え方だ。
医薬品の適正使用を現場レベルで運用させるために、医療機関においてもこのようなKPI管理がここ数年強化されている。VBPなどの影響もありフォーカスされつつある基層医療市場だが、これら医療機関の状況も押さえていきたいと思います。
以上
この記事は各種公開情報等を基に、ibgが内容を作成したものです。