はじめに
上記2枚のスライドは、国家基本医薬品リスト(EDL)の概要と、いわゆる“986政策”と呼ばれているEDL方針変更発表内容を纏めたものだ。
本ibgHealthcare Newsでも2020年8月14日に取り上げており、今回は詳細説明を割愛させていただく。
2020年11月16日に、国家基本医薬品リスト(EDL)の管理方法に関する意見募集討論会が、四川省の成都で開催された。
参加者は、国家衛生委員会・四川省衛生委員会・成都市衛生健康委員会、及び四川省にある製薬企業の代表者である。
本討論会での議論内容が掲載されていたので、今回はこちらを紹介したい。EDLの今後の流れを掴む参考情報として扱っていただければ幸いです。
討論会での内容
2020年上半期には、2020年中にEDL調整が行われるのではと言われていた。(国家衛生健康委員会薬政司 2020年業務要点より)
最近は2021年の実施可能性が高いと言われている。(3年に1度の更新)
今回の討論会では、来年にEDLを調整するにあたる重要な検討要素が話された。
・伝染病に関する治療薬
・慢性疾病および癌・腫瘍から転じた慢性疾病の治療薬
・多くの国民に発症しやすい疾病の治療薬
・重視するのは医薬品自体の価値。患者の長期的な生命の質を向上し、治癒することを求める
また参加した製薬企業からは、EDL管理に対して以下のような建議が提示された。
【EDL数量の拡大、986政策の実現】
・基本医薬品リストの対象を拡大し、またEDL収載品の基層・二級・三級に対する採用割合90%・80%・60%が実現されることを希望する。現在全国の三甲医院で使われている品目は平均1,500あり、986政策が実現されると、三甲医院でEDL収載品が900品目採用されることとなる。
【NRDLとの統合管理】
・EDL収載となった品目について、専門家による協議を軽減するため以下を希望する。
・費用がNRDL収載の同類医薬品より低い場合、直接NRDLへ収載される。
・高い場合は、NRDL収載検討対象になることとする。またNRDLへ収載された際は甲類へ分類される。
【医薬品総合評価品目のEDL優先収載】
・研究機関を有する高等教育機関、国家一級協会および基金会、三甲医院等において、医薬品総合評価の優良効果証明を取得している品目を、優先的にEDL収載対象として検討することを希望する。
【EDL調整頻度】
・以下2つの仕組みを希望する。
・3年に1度の調整。専門家により推薦された医薬品が対象。全国病院使用医薬品データに基づき、年間使用額が10億元を超える品目、副主委以上の臨床専門家が推奨する品目、各省衛健委が推奨する品目、一級学会が推奨する品目について、優先的にEDL収載検討品目に入れる。
・毎年の動態調整。製薬企業から自主申請された医薬品が対象。専門家の審査を経るが、連続して3回却下された品目は、適応症治療分野等の大きな変更がない限り、その後申請を行うことができないルールとする。
《国家基本医薬品リスト管理弁法》の改訂
2015年2月に《国家基本医薬品リスト管理弁法》が公布されてから5年以上経ち、現在この改定作業が行われ、またそれが終わってからEDL(国家基本医薬品リスト)の調整が行われると言われている。
上述した討論会での内容がどこまで反映されるか分からないが、先ずは《国家基本医薬品リスト管理弁法》の改訂版が発表されるのを待ちたいと思う。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。