はじめに
国家衛生健康委員会は、上記のような23の組織で構成されている。
例えば、5か年計画などは规划发展与信息化司が、公立医院に対する規範化・ルール化については医政医管局が担当している。
2022年3月4日、国家衛生健康委員会から《国家衛生健康委員会 薬事管理・薬物治療学委員会設立の通知(中文:关于成立国家卫生健康委药事管理与药物治疗学委员会的通知)》が発表された。
こちらの委員会は医政医管局内に設置され、同時に発表された委員会メンバーの任期は3年間となっている。
薬事管理・薬物治療学委員会とは
今回発表された内容を紹介しよう。
【当委員会の職責】
・中国の医療機関における薬事管理の現状を研究し、政策建議を提出する
・医療機関における医薬品の選定・購買・使用・評価などに関する制度を改善する
・臨床診療ガイドライン・医薬品臨床応用指導原則に基づいた医薬品による治療が行われるよう推進する
・中国における薬学サービス体系の改善を促進し、薬剤師をチームとして強化し、また薬学サービスの規範化・発展を図る
・重大で社会的な薬害事件を調査・処理する
・国家衛生健康委員会から請け負ったその他業務を遂行する
【当委員会の構成メンバー】
・顧問:7名
・主任委員:1名
・副主任委員:6名
・委員-臨床医学組:35名
・委員-臨床薬学組:31名
・委員-薬事管理組:21名
・委員-政策研究組:9名
钟南山医師が顧問に入っており、また協和医院や華西医院といった三甲医院の院長・書記などがメンバー入りしている。衛生健康委員会 医政医管局のサイトに具体名が掲載されているので、興味ある方はそちらを参照いただきたい。
当委員会新設による影響(仮説)
あくまで仮説だが、影響としては以下のようなものが挙げられる。
【重点コントロール対象医薬品の適正使用を促進】
・《重点監督管理合理用薬医薬品リスト》や《補助用薬臨床応用管理業務の通知》など、衛生健康委員会主導で、医療機関における適切な処方管理をここ数年強化している。
・今回このような医師達がメンバー入りしたことで、それがより促進されていくと考えられる。
【医療機関の連携強化を促進】
・2022年1月29日に国家衛生健康委員会から発表された《医療機関設置計画への指導原則(2021-2025年)》の中で、現行リソースの分配計画を4つの機関へ委託することが明記されていた。(国家医学中心、国家・省級区域医療中心、臨床医学研究中心、中医薬伝承創新中心)
・今回の構成メンバーを見ると、顧問にはこのクラスの医師が名を連ねており、医院間の人材・ノウハウといった共有が促進され、しいては分級診療・医療連合体等の形成が促進されると考えられる。
医療機関における医薬品の選定・購買というと、VBP(Volume Based Procurement)を思い浮かべる方もいると思うが、当委員会の設立がVBPへ与える影響はないだろう。VBPやNRDLなどを管轄するのは、衛生健康委員会ではなく医療保障局である。
さいごに
衛生健康委員会の打ち出す施策は、以下のような目的実現のためにとられている。
【衛生健康委員会の目的】
・国家的な先進医療レベルの向上
・地域間医療格差の解消
・高齢化への対応
・医療従事人材の増加・強化
・コンプライアンス課題の解消 等
新設された薬事管理・薬物治療学委員会の効果、ならびに医療保障局といった他政府機関との連携など、引続き注視していきたい点は多い。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。