はじめに
中国の登録ユーザーに対して健康管理情報を提供する丁香医生から、《2021国民健康洞察レポート》が約1年前の2021年1月に発表された。上記スライドはそれより抜粋した内容である。
丁香医生の調査結果だからという見方もあるが、どの世代も人生で重要なことの第1位として「体の健康」が挙げられている。財産・仕事よりも、先ずは自身の健康体を維持するという考え方には、コロナ禍であることも幾分か関係しているかも知れない。
こちらのスライドも、先程と同じレポートから抜粋した内容である。
先程は第3位だった「心の健康」に関するものが、こちらの「ここ1年間の悩み」では第1位となっている。
ちなみに「体の健康」に関する悩みとしては、肌の調子・スタイル・睡眠などが上位に来ている。20年前に出された第十次5か年計画(2001~2005年)では「衛生管理レベルの向上」などが謳われていたことを考えると、この20年間の生活スタイルの変化を感じられる。
こういった背景を基に市場拡大している中国の健康食品市場について、次から紹介したい。
【参考:中国保健食品市場規模】
・2019年:3,965億元
・2020年:4,092億元(前年比3.2%成長)
・2026年:5,178億元(予測)
健康食品のセグメント分類
ご存じの通り、健康関連食品といっても様々な製品が販売されている。
上記スライドは、それらを15のセグメントへ分類したものだ。参考として右側に、2021年の淘宝・天猫での売上データ(健康食品Top100製品)を基にした市場規模感を図示化した。
売上のTop3は、「ダイエット」・「肌・美容」・「サプリメント」となっている。インフルエンサーによるプロモーションも盛んであり、健康意識の高まりとともに、これらの売上も引続き拡大していくことだろう。
企業別の製品セグメント分布
先程紹介したセグメントに対して、健康食品メーカーの販売する製品を当てはめてみた。
湯臣倍健や無限極といったカバーセグメント数の多い企業もあれば、漢方を中心とした製品展開を図る東阿阿胶や、カルシウム剤をメインとする钙尔奇といった、領域を絞る企業もある。またオーストラリアのメーカーであるSwisse社だが、中国市場で上市承認をとる以外に越境ECを活用して海外製品を販売している。
無限極や完美中国などは、直販体制をとる企業として有名だ。広くセグメントをカバーしながら新製品を出し続けることで、自社の直販体制による利益の最大化を図っている。
さいごに
「暖かいお茶を多く飲もう」、「果物で栄養補給しよう」
15年前に中国へ来た際は、このような言葉をよく聞いた。
今でも同じような言葉を聞くが、以前に比べると、サプリメントを始めとする健康食品をとる中国の方が増えたと実感する。もちろん現状も、都市・農村間や世代間でこの辺の意識はまだ異なると思う。今後の動向を引続きウォッチしていきたい。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。