はじめに
2021年6月23日、复星凯特生物技术有限公司(FOSUN Kite)から申請されていた阿基仑赛 注射剤(商品名:奕凯达)が、国家薬品監督管理局より優先審査プロセスを通じて承認された。
中国で初めて承認取得したCAR-T細胞療法として、メディアでも注目されている。
復習のために、CAR-T細胞療法のステップを簡単にまとめた。
(ステップ1)
・患者からT細胞を採取する。(T細胞とは体内にあるリンパ球の1つで、がん細胞を攻撃して死滅させる働きがある)
(ステップ2)
・特定のがん細胞を認識して攻撃するよう、採取したT細胞を製造施設で改変する。(CAR-T細胞へ)
・またがんと闘うのに充分な数までCAR-T細胞を増殖する。
(ステップ3)
・品質検査を経たのち、治療施設へ送られる。
(ステップ4)
・患者へリンパ球除去化学療法を行った後、CAR-T細胞を投与する(体内に戻す)。
本日は、中国初のCAR-T細胞療法承認について紹介したい。
今回の承認取得までの経緯
【2017年4月】
・复星医药集团と米KitePharmarma(米ギリアド・サイエンシズの子会社)の合営会社として、复星凯特生物技术有限公司(FOSUN Kite)が設立。
・またこの頃、米KitePharmarmaより「Yescarta」(イエスカルタ)の中国における開発・製造・販売権のライセンス契約を締結。
【2017年10月】
・米ギリアド・サイエンシズの「Yescarta」(イエスカルタ、AxicabtageneCiloleucel)が米国で承認取得。
【2018年8月】
・「Yescarta」(イエスカルタ)がEUで承認取得。
【2018年8月】
・中国の国家食品薬品監督管理局医薬品審査中心(CDE)が、「Yescarta」(イエスカルタ)のIND申請を受領。
【2020年2月】
・复星凯特(FOSUNKite)からの阿基仑赛 注射剤の上市申請を、国家薬品監督管理局(NMPA)が受理。
【2020年3月】
・当製品の上市申請が、CDEより優先審査対象と認められる。
バイオテクノロジー産業発展計画の進行
古い内容だが、2017年1月12日に国務院から《“十三五”バイオテクノロジー産業発展計画》が発表された。(全33ページの内容)
以下、本《計画》より一部抜粋。
【発展目標】
・中国でのバイオテクノロジー能力を増強し、国際競争力を絶えず高める。
・重点企業は売上の10%以上を、当研究開発へ投資する。
・その結果、知的財産権を持つ企業が現れ、年間売上100億元を超えるバイオテクノロジー製品が誕生する。
・また、高い技術力・製品力を以って国際主流市場へ参入し成功する。
【発展推進させる重点領域】
・バイオテクノロジー新薬
・スマート治療法、医療機器
・バイオテクノロジー農業産業
・製造技術への応用、グリーン化
・環境保護への応用
・バイオテクノロジーサービスモデルの形成
今回紹介したCAR-T細胞医療についても、本《計画》で触れられており、国として発展していきたい分野の1つだ。
《バイオテクノロジー発展計画》の内容はボリュームが多いので、今回はこのくらいの紹介に留めておく。詳細は、国務院HPを参照いただきたい。
以上
この記事は各種公開情報等を基に、ibgが内容を作成したものです。