はじめに
2021年4月8日、国家発展改革委員会と商務部から《海南自由貿易港の建設を支持するための、いくつかの特別市場参入解放施策に関する意見》が発表された。
5分野22条の具体的な措置が挙げられたもので、国家レベルで海南自由貿易港事業を推進させる意図が読み取れる。
以下に本《意見》のアジェンダをまとめた。
【一.医薬衛生領域での市場参入方式に関する刷新】
1.処方薬オンライン販売の展開を支持
2.海南省における国産ハイテク医療設備の発展を支持
3.医薬品市場参入の強化を支持
4.CROの参入制限を全面開放
5海南省における先端の医療/美容産業の発展を支持
6.移植に関する産業の環境整備
7.海南医療健康産業の発展に向けた基金の設立
【二.金融産業の市場参入/発展に向けた環境整備】
8.海南省における証券/保険/基金といった業界の発展を支持
9.データ活用した農業分野における産業発展を試行
【三.文化産業の市場参入/発展に向けた促進】
10.海南国際芸術品交易センターの建設を支持
11.文化演劇産業の発展を促進
12.オンラインゲーム産業の発展を促進
13.文化財産業の市場開放
【四.教育産業における市場開放と資源統合を推進】
14.海南省における優秀校の科学研究を促進
15.国内有名校の海南省における国際学院建設を支持
16.海南省における職業教育の発展を促進
【五.その他重点産業の市場参入を解放】
17.海南省における商業航空/宇宙産業の市場参入を促進
18.民間航空産業への市場参入を開放
19.スポーツ産業への市場参入を解放
20.農作物等の産業に対する市場参入を解放
21.新エネルギー/充電設備に関する統一的な建設・運営を支持
22.農村への旅行産業発展を試行
海南自由貿易港は以下11の重点産業区が設定されているため、上記《本意見》でも様々な 業界に関する市場解放施策が謳われている。
医薬品の市場参入に関する施策
今回紹介する《海南自由貿易港の建設を支持するための、いくつかの特別市場参入解放施策に関する意見》から、医薬品に関する内容をいくつかピックアップした。
【第1条.処方薬オンライン販売の展開を支持】
・海南電子処方センターを設立。国内で発売された処方薬に対して、電子処方センターに基づくオンライン販売を許可する。(国家医薬品管理法で特殊管理が求められている医薬品を除く)
・海南電子処方センターは、オンライン病院・海南の医療機関・各種処方薬オンライン販売プラットフォーム・医保データプラットフォーム・商業保険機関等とデータ連携する。つまり、患者はオンライン病院での最新後、処方薬を郵送で入手できる。
【第3条.医薬品市場参入の強化を支持】
・楽城先行区の医療機関が実施する臨床試験をサポートする。
・海南省で登記された製薬企業が、中国でⅠ-Ⅲ期の臨床試験を完成し上市許可を得た場合、海南の医療機関で直接使用されることを奨励する。
・関連部門は、上記を妨げるような市場参入条件を制定することができない。
その他ヘルスケアに関する施策
【第5条.海南省における先端の医療/美容産業の発展を支持】
・著名な美容医療機関の楽城先行区への進出を奨励する。
・楽城先行区の美容医療機関は、アメリカ・EU・日本などで上市済みの製品を使用することができる。
・中国国内での登録が必要な医薬品/医療機器/化粧品について、楽城先行区が奨励措置を行うことができる。
・海南省の関連部門は、医療/美容産業の発展に必要な国外医薬品/医療機器/化粧品の企業や製品について調査を行い、国内登録のサポートを行う。また国家医薬品監督管理部門もそのサポートを行う。
【第6条.移植に関する産業の環境整備】
・楽城先行区に国際移植医療リハビリ診療センターを設立し、医療機関と連携して移植医療リハビリ診療を展開する。
【第14条.海南省における優秀校の科学研究を促進】
・陵水国際教育先行区や楽城先行区等の重点開発地域における、大学等の生物医学、電子情報、コンピュータおよびビッグデータ、人工知能、海洋科学などの研究基地設立を奨励する。
・また、研究員が海南で開業・兼業・研究を行うことをサポートする。
さいごに
今回のibgHealthcare Newsは、中国政府からの発表内容を掲載しただけの内容となった。
ただし、国家プロジェクトとして進む海南自由貿易港の内容・トピックを押さえておくだけで、今後の傾向を感じ取ることができる。
今回紹介した《意見》では、医薬衛生領域の内容が最初に取り上げられた。
人々の健康に対するニーズが多様化する中、如何にそれへ応えていくか? 国家事業として対応を検討されている状況だ。
この記事は各種公開情報等を基に、ibgが内容を作成したものです。