はじめに
2021年3月11日、第14次五カ年計画(「十四五」)が中国の全国人民代表大会にて承認された。
その中から、衛生健康事業に関する内容を1枚ものにまとめてみた。
構成として、「計画全体」に書かれているビジョンの実現に向けた施策が、「計画具体化」に書かれている。北京や上海といった大都市に住んでいると感じづらいが、2035年(遠景目標)に書かれている通り、格差解消・均等化はこの国にとって未だ大きな課題と設定されている。
「計画具体化」で箱を青色に塗った箇所は、衛生健康事業と関わりの深い内容をピックアップしたものだ。ざっくりまとめると、要点は以下3点に集約されると考えられる。
・技術革新(遺伝子・バイオ、革新的な医療機器・医薬品)
・マーケットの循環・拡大
・デジタル化による新たなサービスの創出と規範作り
第十三篇内の「健康中国」について
次のスライドは、第十三篇内にある「健康中国」の施策をまとめたものだ。
見ていただければ分かる通り、どの部署が・何を行っていくのかがまとめられている。
(以下、一部紹介)
・公共衛生サービス体系の向上
・分級診療体制実現へのスピードアップ
・医薬品等の帯量購買
・イノベーション薬・ワクチン・医療機器等の快速承認体系の改善
・家庭かかりつけ医の拡大
・医療保険リストの動態調整(NRDL)
・DRG/DIPの推進
・商業医療保険の積極的な発展 など
ここ数年間行われている施策が、今後も継続されることを見て取れる。
中長期プランの実現へ進む
久しぶりに、2016年10月に発表された《健康中国2030計画綱要》を振り返ってみよう。
Vision・2030年数値目標の実現へ向けて、多くの対応方針が当時示されていた。
中国なので当たり前と言えばそうだが、今回紹介した第14次五カ年計画と方針が変わらず、実現へ向けて進んでいる状況を感じられる。
中国では五カ年計画が出された数か月後に、事業毎の5か年計画が発表される。
前回の第13次五カ年計画では、2016年12月に国務院から《关于印发“十三五”期间深化医药卫生体制改革规划暨实施方案的通知》が発表された。
今回はいつ出されるか分からないが、「十四五」を見る限り、技術革新(遺伝子・バイオ)や技術革新(5Gスマート医療)といった内容が、中長期プランへ新たに追加されると予想される。
政府の発表する中長期プランに関して、「継続事項」と「新規事項」を整理しながら、中国医療環境を分析していくのが面白いと考えられる。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。