VBPにより、長期収載品などの販売チャネルとして薬局市場がこれまで以上に注視されるようになった。
それに関して、今回は中国の执业药师(薬剤師)のお話をしたい。
国家資格である薬剤師。
試験に参加して合格(上記①)した後は、就業先等の情報を国家システムへ登録し(上記②)、また就業時も能力・行動面の監督管理が行われる(上記③)。
① 国家資格の取得
中国で薬剤師(执业药师)を目指す場合、先ずは国家資格試験に合格し、《中華人民共和国薬剤師職業資格証書》を取得しなければならない。
上記スクリーンショットは、その資格制度・試験内容について定められた《薬剤師職業資格制度規定》に関する通知文書である。
全国統一試験で、基本的には毎年10月に開催される。
試験参加要件は本文1つ目のスライドを参照いただきたいが、中国国内に住む外国人も要件を満たしていれば参加可能だ。
ちなみに2021年に本試験へ参加したのは450,973人で、合格者は80,840人(合格率17.93%)だった。(2020年:約19%、2019年:18.72%、2018年:14.10%)
② 国家への登録手続き
国家資格試験に合格した後、薬品監督管理部門に対して就業先などの登録作業を行う。
上記スクリーンショットは、その要件が書かれた《薬剤師登録管理弁法》の通知文書である。
2022年8月末時点で、全国での登録済み薬剤師は682,897人いる。(前月比+5,397人)
【内訳】
・薬局企業で働く薬剤師:622,901人
・医薬品卸企業で働く薬剤師:37,384人
・医薬品メーカーで働く薬剤師:4,493人
・医療機関で働く薬剤師:18,002人
・その他:117人
中国の店舗薬局数は2021年時点で約59万軒なので、単純に計算すると薬局1店舗に1人の薬剤師がいることになる。
一方、DTP薬局や双通道薬局では1店舗に2人以上の薬剤師を配置しなければならず、また都市によっては店舗面積100平方メートル以上の場合は2人配置するといった要件がある。薬局では、その辺を考慮して薬剤師を配置していることだろう。
③ 薬剤師の監督管理
《薬剤師登録管理弁法》では、以下のような内容が明記されている。
【第六章 監督管理より抜粋】
・就業開始後も、年間90時間以上は専門教育機関での研修に参加すること(第28~29条)
・《薬剤師登録証》の売買・貸与・偽造などを厳しく禁止する(第30~31条)
・詐欺や賄賂といったコンプライアンス違反を行った場合、《薬剤師登録証》が3年間失効される(第32条) 等
また江西省などでは、“顔認証+GPSシステム”を使った薬剤師の出勤管理も行われている。
薬局における薬剤師の役割・期待が高まりつつある中、こういった監視を強めることでサービスレベルの向上を図ろうとしているのだろうか。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。