2022年6月28日、広東省薬学会より《オフラベル医薬品リスト(2022年版)》が発表された。
これは広東省薬学会に所属する医療機関の薬学専門委員会などが作成したもので、2015年から毎年発表されているものだ。広東省だけでなく、北京市・遼寧省・黒龍江省・上海市・江蘇省・浙江省・安徽省・湖北省・湖南省・海南省・重慶市・四川省・陕西省・福建省といった省の三甲医院も編集作業に参画している。
対象の医薬品(一般名)・剤型・規格に対して、添付文書に記載されていない269の適応外処方がリスト化されている。2022年版では、新たに37個のオフラベル適用が追加されている。(詳細はリストを参照)
以下5つのいずれかを満たし、且つ専門家による評価を追加された場合に、当リストへ新規追加される。
【条件】
・米国、欧州、日本の添付文書に記載されている内容であること
・中華医学会著作&人民衛生出版社出版の《中国薬典臨床用薬須知》や《臨床診療ガイドライン》に記載されている内容であること
・国際的に主流となっているガイドライン或いはコンセンサスに記載されている内容であること(例:NCCN)
・Micromedex®で有効性が推薦等級(Ⅱb級)やエビデンス等級(B級以上)であること
・4大医学発行紙(NEJM、The Lancet、JAMA、The BMJ)等で証明されていること
関連情報を追記する。
2022年9月9日、広東省薬学会より《オフラベル医薬品リスト(2023年版)》の作成に向けて、全国の医療機関から意見を求める旨が通知された。意見提出の期限は2022年11月30日となっている。
オフラベル医薬品リストだが、《中華人民共和国医師法》の第3章 第29条に基づき、医師に対して提示されているものだ。
【医師法 第29条を抜粋】
・医師は、安全性・有効性・経済合理性の用薬原則を堅持しなければならない。また医師は、医薬品臨床応用指導原則や臨床診療ガイドラインや医薬品の添付文書などに基づかなければならない。
・しかしながら、効果がなかったり更に良い治療手段があったりするような特殊ケースの場合、医師は患者さんの明確な同意を得た上で、医薬品添付文書には記載されていないが医学上エビデンスのある方法ならば、その方法による医薬品治療を実施することが可能。
・また医療機関はそれに関する管理制度を構築し、医師の処方・用薬に対して適切な審査を行い、医師の行動規範を厳格に管理しなければならない。
また今回は広東省のケースを紹介したが、山東省・遼寧省・吉林省・黒龍江省などの薬学会からも同様のものが発表されている。
もちろんNRDL収載時は対応する適応症も登録されるため、オフラベルの場合に保険適用されることは原則ない。
ただ、適応症追加を行う場合、このような《オフラベル医薬品リスト》に掲載して医療機関での適正使用の実績を積んだ上で、NRDLへの適応症追加を申請するステップもあると考えられる。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。