はじめに
2021年1月31日、中共中央オフィス及び国務院より《高水準の市場体系構築へ向けた行動方案》が発表された。
第十四次五か年計画のキーワードである「国内大循環・内外双循環」を実現するためには、より高レベルな市場体系を構築することが重要。これは、それに向けたアクション案と言える。
このアクション案はヘルスケア業界に特化した話ではなく、全業界に関連する発表内容であることを強調しておきたい。
今回の発表内容は、6章・18篇・51条から構成されている。
1.全体要求
2.市場体系基礎制度の構築(知的財産権制度の改善、独占禁止法の改善等)
3.効果の高いリソース配分の推進(土地管理制度の改革推進、資本市場の健全な発展を促進等)
4.市場環境・品質の改善(消費者権益保護の強化、プラットフォーム企業の発展促進等)
5.高レベルな市場開放(金融サービス市場の開放、社会サービス市場の開放、外商投資産業リスト範囲の拡大等)
6.現代化市場監督体制の改善(重点商品の市場価格監督を強化、信用/分級の監督管理を推進等)
以下に、医薬・医療業界に関する内容を抜粋する。
医薬・医療業界に関する内容
【知的財産権保護の強化】
・医薬品上市に関わる特許審査案件に適用される法律の問題点を整理する。医薬品特許の保護、越境ECに関する知的財産権の保護に関わる規定を制定し、企業の知的財産権保護に関するガイドラインや知的財産権保護の国別ガイドラインを制定する。
【独占禁止に関する法律の強化・改善】
原料薬など特定分野の反独占ガイドラインや制度免除ガイドラインを制定し、国外においても反独占のための手引きを行う。
【医療保障データシステムの構築強化】
全国統一のデータ連携システムを構築し、地域・等級・部門を跨いだ業務連携を推進する。
【デジタル化の推進】
オンライン医療・オンライン教育・第三者物流・即時配達・オンライン就業・オンライン業務など、新たなサービスプラットフォームの構築・発展を推進する。
【社会サービス市場開放の秩序ある拡大】
医療・教育・運動・保育・環境・市政等の分野に重点をおき、市場参入制限を縮小する。医療機関の設置ルールを改良し、民間医療機関には指導性あるルールを適用する。
【信用情報の分級分類監督管理を推進】
税収管理・輸出入・・医療保障・医薬品入札購買といった多くの分野で、信用情報の分級分類監督管理を推進させる。市場に正確で利便性のあるサービスをもたらすため、信用情報に基づいた監督管理を行う。
さいごに
上記は、2001~2020年の医薬品衛生事業に関する5か年計画の変化を纏めたスライドだ。
過去20年間は、衛生レベルの向上・国民皆保険制度の導入・医療費財源の抑制に重点が置かれてきたと言える。
今回紹介した国務院発表の《高水準の市場体系構築へ向けた行動方案》からも読み取れるように、中国のヘルスケア政策は今度新たな段階に入ってくると考えられる。
昨年はVBPやNRDLの話題が多かった印象だが、今年はそれ以外の話題についても広く取り上げていきたいと思います。
以上
この記事は各種公開情報を基に、ibgが内容を作成したものです。