はじめに
2021年6月9日、国家医療保障局より《2021年国家医療保険医薬品リスト調整業務方案》と《2021年国家医療保険医薬品リスト調整申請ガイドライン》に関するパブリックコメント版が発表された。
今回も整理スライドのない文章のみの内容となっており恐縮だが、取り急ぎ内容を紹介したい。
リスト調整ステップ
昨年に比べて、1か月ほどスケジュールが前倒しされているのが特徴だ。
今年は以下のステップ・スケジュールで実施される予定だ。
以下はあくまで、今回発表された内容を基にして作成した概略であること、ご了承ください。
【1.準備(6~7月)】
・医療保障局がリードしながら、関係機関と今回のNRDL調整に関する原則・プロセスを確認。
・企業申請システム、専門家評価システムを改善。
・各種専門家の決定など。
【2.企業申請・受領(7~8月)】
・企業による申請作業は7月1日~14日を予定。
・医保センター主導で、企業から申請された資料の審査(形式審査)を実施。
・形式審査結果及び企業申請資料を公示。
・申請企業に対して結果をフィードバック。
【3.専門家評価(8~9月)】
・総合組(総合専門家、自薦)による評価。申請医薬品に対する総合評価を実施。直接収載可、談判での収載判断、直接除外、除外検討、償還範囲調整検討といった5分類の医薬品建議リストを作成。
・専門組(臨床専門家、関連学会や協会の推薦)による評価。申請医薬品に対する検討・評価を実施。同時に、談判時の主規格や比較参照医薬品等を決定。
・総合組による検証。専門組専門家の意見を基に、直接収載可、談判での収載判断、直接除外、除外検討、償還範囲調整検討といった5分類の医薬品リストを最終化。
・申請企業に対して結果をフィードバック。
【4.談判(9~10月)】
・談判対象となった企業へ、談判への参加意思を確認。
・試算専門家(地方医療保険部門及び関連機関の推薦)による、医療保険基金・薬剤経済学といった視点からの評価。
・交流強化。企業とのFaceto Faceでの交流による、評価時に生じた問題の解決。
・これまでの評価意見や当日の談判内容を基に、談判専門家(医療保険部門代表及び関連専門家より構成)による全国統一医療保険償還基準の確定。
【5.結果公表(10~11月)】
・調整結果の発表、2021年度版NRDLの公布。
申請対象となる医薬品
昨年は「2015年1月1日~2020年8月17日まで」だったのが、今年は「2016年1月1日~2021年6月30日」になっているのが主な特徴だ。
以下に、今回発表された内容を基にして作成した概略を記す。
【新規追加収載される対象医薬品の条件(西洋薬・漢方薬)】
・2016年1月1日~2021年6月30日に国家薬品監督部門から承認された新一般名の医薬品。
・2016年1月1日~2021年6月30日に国家薬品監督部門から承認された適応症或いは主治効果に重大な変化のある医薬品。
・新型コロナウイルス関連の呼吸系治療薬。
・2018年版NEDL収載の医薬品。
【収載済みで調整検討対象となる医薬品の条件(西洋薬・漢方薬)】
(除外対象)
・国家薬品監督管理部門から、医薬品登録批准証明書を取消・没収・抹消された医薬品。
・臨床価値・副反応・薬物経済性等の要素を総合的に考慮し、評価を経て患者が得る価値よりリスクが大きいと認定された医薬品。2016年1月1日以前にNRDLへ収載され、且つ2016年1月1日~2021年6月30日の間に国家薬品購買プラットフォームでの記録が無い医薬品が、重点検討対象となる。
(償還基準調整対象)
・契約期間内、且つ償還基準を再確定すべき国家談判医薬品。
・企業申請或いは専門家評価により、償還範囲を調整すべき国家談判医薬品。
・同じ治療分野において価格或いは費用が明らかに高く、且つ医療保険基金の使用量が多い医薬品。
さいごに
今回紹介したパブリックコメントだが、医療保障局に対する意見の提出期限は2021年6月16日となっている。つまり、2021年6月17日以降に正式版が発表される予定だ。
遂に本格的なスタートを切った2021年度NRDL更新。引続きウォッチしていきたいと思います。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。