はじめに
2021年12月3日、国家医療保障局・人力資源社会保障部より《国家基本医療保険・工傷保険・生育保険医薬品リスト(2021年)の通知》が発表された。
今回の調整により、本リストに収載される医薬品は合計2,860品目。うち、西洋薬が1,486品目、漢方薬が1,374品目となった。
今回だが談判ステージまで進んだのは117品目。そのうち収載されたのは94品目だった。
94品目のうち、新規収載は67品目(西洋薬64・漢方薬3)、継続収載は27品目となっている。
新規収載の67品目だが、平均下落率は61.71%だった。(2020年は50.6%、2019年は60.7%)
談判にて新規収載された品目
今回新たに収載された品目(一般名)に関連する、日系メーカーの医薬品を製品名で抽出した。
・フィラジル(武田薬品工業、遺伝性血管性浮腫(HAE)治療用 選択的ブラジキニンB2受容体ブロッカー)
・リプレガル(武田薬品工業、α-ガラクトシダーゼ酵素製剤)
・ハラヴェン(エーザイ、抗悪性腫瘍剤)
・ゾフルーザ(ロシュ(塩野義製薬)、抗インフルエンザウイルス剤)
また新規収載された西洋薬64品目だが、メーカー分類別には以下となっている。
・日系メーカー:4品目
・欧米系メーカー:24品目
・中国系メーカー:36品目
高額希少疾患薬としてNRDL談判結果が注視されていた、2年前の上市価格が70万元/瓶のヌシネルセン(製品名:スピンラザ、脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬)。
談判時のメーカー側からの最初の提示額は53,680元(12mg 5mL1瓶)だったが、最終的には33,000元以下でNRDLへ収載された。ちなみに日本で2017年に薬価収載された際は、932万円(約52万元)だった。日中間での価格差があまりにも大きく、バイオジェンの価格戦略がどのようなロジックになっているのか興味深い。
ちなみにヌシネルセンの談判の様子はCCTVで放映されているので、興味ある方は検索いただきたい。
さいごに
今回のNRDL更新。
外資系メーカーのPD-1/PD-L1が収載されなかったことも特徴として挙げられる。
また、ヌシネルセン(製品名:スピンラザ)やアガルシダーゼα(製品名:リプレガル)といった希少疾患薬が複数収載されたのも特徴的だ。
2020年からのルール変更で、NDA取得後から約5年間は、MAHによるNRDL申請が可能となった。
NRDL談判を考慮した薬価設定、PAP・TPAの活用、NRDLケース・Non-NRDLケースの設定、他国への影響考慮など、NRDL国家談判が製薬メーカーへもたらした影響は大きい。
中国の社会保障制度は現在も改革途中の段階で、今後も様々な調整が入ると考えられる。引続き、政策動向・市場動向を提供していきたい。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。