はじめに
2022年1月25日、国家衛生健康委員会より《“十四五” 衛生健康標準化工作計画の通知(中文:“十四五”卫生健康标准化工作规划)》が発表された。
《健康中国2030》の実現へ向けて、様々な側面から衛生健康管理レベルを全体的に向上させていこうというものだ。これまでも以下の21テーマごとに専門委員会が設立・議論されてきた。
【21の専門委員会】
衛生健康情報、医療衛生構築設備、伝染病、寄生虫病、地方病、栄養、環境健康、学校衛生、衛生有害生物防止、医療機関管理、医療サービス、医院内感染コントロール、介護、臨床検測、血液、基層衛生健康、消毒、老年健康、婦女幼児健康、就業者健康、放射線衛生
今回発表された《“十四五” 衛生健康標準化工作計画の通知》は、以下で構成されている。
1.計画背景
2.全体要求(第1条~第3条)
3.主要任務(第4条~第9条)
4.重点領域(第10条~第15条)
5.保障措置(第16条~第19条)
この5か年計画で掲げられたテーマに対して、「制度構築」・「人材強化」・「予算投入」が今後行われる予定だ。
今回の5か年計画は総じて抽象的な記述内容となっているが、いくつか私が興味深いと感じた部分を紹介したい。
一帯一路地域への展開
中国国内の衛生健康管理レベルを「都市・地方間のGAP」が無いように標準化することだけでなく、一帯一路地域における「中国式衛生健康管理モデルの展開」も、今回の5か年計画には明記されている。
以下は、約20年前に衛生部から発表された《衛生事業に関する第10次5か年計画》に関してまとめたスライドだ。
確かに過去20年間における中国の改革スピードは速い。これらの経験を他国へどう展開し
ていくか、今後も注視していきたい。
重点領域
「4.重点領域(第10条~第14条)」では、比較的具体的な内容が記載されている。
【第10条.公共衛生体系の強化】
・予防へ向けた事前検査・診断体系の強化(伝染病・寄生虫病・地方病等)
・心理精神面における衛生サービス体系の改善
・伝染病/災害といった緊急事態への事前準備
【第11条.医療衛生サービスの品質向上】
・複数科室間の連携診療モデルを構築・イノベーション
・情報化による遠隔診療、スマート医院の建設
・常見病に対する分級診療を含めた標準治療パスの策定
【第12条.愛国衛生運動の展開】
・環境健康調査基準、リスク管理基準の策定・強化
・有害生物に対するコントロール基準の策定
【第13条.重点対象者への健康促進】
・妊娠者に対する積極的な生育・育児支援
・未成年児童に対する近視・肥満コントロール等の支援
・就業者に対する疾病危害予防コントロールの支援、《就業病分類リスト》の更新
【第14条.衛生健康事業イノベーションの発展】
・デジタルヘルスケアサービス、運動エンターテインメント、スマート健康製品/サービス、健康医療トラベルといった新業態への支援
さいごに
上記は、2016年10月に発表された《健康中国2030計画綱要》をまとめたスライドだ。
今回紹介した5か年計画(衛生健康標準化計画)は、上記の数値目標実現に向けたものと捉えれば理解しやすい。
医療費抑制政策・国産化政策が注視されやすいが、こういった衛生健康管理という面からも、中国の政策・市場動向を発信していきたい。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。