はじめに
先日のibg Healthcare Newsでは、医薬品に関する広東省連盟VBPの内容を紹介した。
今回は、2021年11月に実施された広東省主導の医療機器に関するVBPを紹介したい。紹介するのは、《超音波凝固切開装置用ブレード 連盟地域集中帯量購買(中文:超声刀头联盟地区集中带量采购)》に関する内容である。
同じ広東省主導で行われた省連盟VBPであり、価格設定ルールなど、今後予定される「広東+10省連盟医薬品VBP」の参考になると考えられる。
今回紹介する「広東省主導 超音波凝固切開装置用ブレードVBP」だが、対象地域の選定が2021年5月から上記3ステップで行われた。
最終的に、この省連盟VBPへ参加した省(区)・都市は以下である。
広東、山西、内モンゴル、福建、広西、河南、湖北、広西、海南、貴州、甘粛、青海、
寧夏、新疆、新疆生産建設兵団、安徽省黄山市
(15省(区)で中国医療機器市場の約54.6%を占める)
対象品目・リスト設定
「超音波凝固切開装置用ブレードVBP」では、分類1~3が対象となった。ちなみに「3類登録証」とは国家レベルの認可を、「2類登録証」とは省レベルの認可を指す。
上記スライドした部分にある通り、製品数の多い分類2・3は予定購入量に応じて、購入リストAとBに分類された。予定購入量とは対象の医療機関から事前に収集したもので、以下のように分類されたと理解できる。
(購入リストA)
・現状、医療機関で多く使われている製品。分類内における90%
(購入リストB)
・現状、医療機関であまり使われていない製品。分類内における残りの10%
価格設定ルール(購入リストA、B)
【購入リストA 対象製品】
購入リストAの対象となった製品だが、製品分類毎に、各医療機器メーカーからの価格提示が行われる。分類1を例に説明しよう。
<Step.1>
・先ず政府側(この場合は広東省深圳公共資源交易中心)から、分類1に対する「最高基準価格(Price 0)」が提示される。
・分類1の場合、P0を例として2,500元とする。
<Step.2>
・次に、医療機関から提示された製品別の「初年度予定購入量の70%」を獲得するための価格提示が、メーカー側から行われる。提示されるP1(Price 1)だが、ルール上、P0を下回る価格でなければならない。
・つまり分類1の場合、提示価格が2,499元以下であれば、医療機関から提示された当該製品に対する「初年度予定購入量の70%」を確保することができるルールだ。
<Step.3>
・「初年度予定購入量 残りの30%」へ応札するための提示価格がP2(Price 2)だ。
・これは競争入札方式で行われる。例えば、会社①が1,800元、会社②が1,900元、会社③が2,050元、会社④が2,400元で応札したと仮定しよう。
・会社①・②の購買予定量が①~④合計の50%を超える場合、会社①・②は自社製品の残り30%を獲得できるだけでなく、会社③・④の残り30%も獲得できるというルールだ。
・③・④の予定購買量30%に対して、①・②のどちらを購入するかは医療機関に委ねられる。
【購入リストB 対象製品】
現状、医療機関であまり使われていない購入リストBの製品は、「最高基準価格(Price 0)」を下回る価格がメーカーから提示され、それが採用される。
ただし提示した価格が、購買リストAの<Step.3>で挙げた①・②よりも高い場合、購入リストBの100%は①・②に取って替えられる。
さいごに
今回紹介した「広東省主導 超音波凝固切開装置用ブレードVBP」について。
「最高基準価格(Price 0)」がどのように設定されているのか公開されていないが、医療機関が現在使用しているブレードに大きな変化がないようにしながら(70%を確保)、価格を下げる内容となっている。
難しい面もあると思うが、代理商数の見直しや、代理商方式から「物流会社活用+自社プロモーション方式」へ変えることにより、利益率向上を図る対策もあると考えられる。
また中国ローカルメーカーの場合は、海外(新興国)でのプロモーション・輸出を拡大している。
広東省主導の省連盟VBPについて、医薬品と医療機器でいくつか共通点が見られる。
・医療機関から提出された購買予定量に基づく、購買リストA・Bへのグループ分け
・Price 0~2の設定
・落札価格が低い場合、同一分類内の他製品の購買予定量を獲得可能(医薬品の場合は同一一般名内)
政府側も「国家レベル・省級レベル」、「医薬品・医療機器」の実施状況を見ながら、VBPのルールを調整してきているように感じる。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。