はじめに
弊社が購入しているデータベースより、Sanofi中国の業績情報をまとめてみた。
【左側:売上推移】
・2020年はVBPによる影響で医院チャネルでの売上が大幅減
【右側:領域別の医院チャネル業績】
・VBPの影響を受けて、2020年はプラビックス(血栓を防ぐ抗血栓薬)の売上が大幅減
・2020年は、その分を他剤で充分にカバーできていない状況
Sanofi中国だが、プロモーション組織は現状以下のような形で構成されている。
・普薬事業部:慢性病薬を取り扱い、医院だけでなく、基層医療衛生機構や薬局チャネルへも展開
・特薬事業部:抗癌剤やオーファン薬を取り扱う。
・疫苗事業部:ワクチン部門。Sales・Marketing・商務等を配置。
上記の処方薬プロモーション組織以外に、消費者向け保健製品部門・業務研究開発センター・生産工場などで構成されている。
Sanofi中国の取り組みを2つ紹介しよう。
こちらは、振戦(意思とは無関係に生じる律動的な細かい振動運動)のデータを収集しながら、協業先の瑞金医院と、患者さんの進行状況を把握するために開発されたデバイスだ。
こちらは2型糖尿病に罹患したと同時に発症する糖尿病網膜症を軽減するために、提携するチェーン薬局で検査サービスを提供するというものだ。
どちらも、「健康管理~検査~診断~治療~リハビリ/介護~支払/保険」といったエコシステム構築に、他業界と連携しながら取り組んでいる事例と言える。
さいごに
最初に紹介したとおり、VBPの影響によりSanofi中国の売上構成比は変化しつつある。
・腫瘤、心血管、オーファンといった領域別の売上構成比
・医院、薬局、オンラインといった販売チャネル別の売上構成比
上記の「領域別」・「販売チャネル別」に加えて、処方薬・検査機器・サービスといった分類毎の売上構成比にも、今後変化が生じると考えられる。
今回紹介した2つのイノベーションな取り組みも、そのような変化の一つと言える。
「イノベーティブなエコシステム(生態圈)の構築」
この言葉を耳にする方もいらっしゃると思う。
欧米外資の取り組みを見ていると、エコシステム構築の目的は、新たな売上構成モデルを作り出すことだとも考えられる。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。