2022年11月17日、中国外商投資企業協会医薬品研制開発業界委員会(RDPAC:China Association of Enterprises with Foreign Invest ment R&D-based Pharmaceutical Association Committee)より、《RDPAC業界行動準則(2022年度修正版)》が発表された。
中国語+英語で記載されているPDF 120頁の資料だ。RDPACのホームページ上(資源中心→出版物)に実際の資料が収載されているので、入手したい方はそちらをご覧いただきたい。
こちらの有効開始日は2023年4月1日と発表されている。
全14条から構成されているこちらの内容を少しだけ紹介する。(中文内容を基に掲載。直訳でなく簡略化していることを了承ください)
《RDPAC業界行動準則(2022年度修正版)》
【第1条.スコープと定義】
- RDPAC会員企業が、医療衛生専門人材・医療衛生組織・患者組織・患者と、メディカル相互交流及び医薬品プロモーション活動を行う際の行動基準を定めた内容。(RDPAC発表によると、2020年6月時点での会員企業は47の製薬メーカー、25の研究開発センターである。医薬品数でいうと206種を超える)
- RDPAC非会員企業は本基準の対象外であるが、RDPACはそれら企業も本内容に基づく
- プロモーション活動を行うことを推奨する。
【第2条.メディカル相互交流プログラムの基本原則】
- 会員企業は、医療機関や専門学会/協会などと交流プログラムを開催する際、適切に情報を公開しながらその内容の透明度を高めること。
- 会員企業による賛助(医薬品や関連資材等)について、その性質がプロモーションに属するものであるか関わらず、どの会員企業による賛助であるかを明示すること。
【第3条.上市承認取得前の情報交流、医薬品のオフラベル使用】
- 会員企業は、当該医薬品に対する中国管轄部署の上市許可取得前は、中国における当該医薬品の使用及びプロモーション活動を実施してはならない。
- 上市承認前、或いは医薬品添付文書以外の情報を医療従事者と交流する場合、口頭・書面形式に関わらず、メディカル専門人員或いはその人員の監督下で行うこと。
【第4条.プロモーション情報に関するスタンダード】
- プロモーション情報と、中国管轄部署に承認された内容が一致すること。
- 歪曲・誇大・必要以上の強調による情報提供を行わないこと。
- 承認済みの添付文書内容や科学的エビデンスに基づく内容を基にプロモーションによる情報提供を行うこと。
【第5条.印刷プロモーション資材】
- 医薬品名、活性成分、製薬メーカー名・住所、プロモーション資材作成日、処方情報概要(承認済みの適応症、用法用量、禁忌症、副作用情報を含む)は必須の記載内容。
【第6条.電子版プロモーション資材(音声含む)】
- 印刷資材と同様の要求内容を順守すること。
- また中国の関連する法律法規の規定を順守していること。
【第7条.医療従事者とのメディカル相互交流プログラム】
- 会員企業は、医療従事者が海外の交流プログラムへ参加することを組織したり賛助してはならない。(IFPMA行動基準及びIFPMAの関連するガイドライン内容を満たす場合はこれに該当しない)
- 交流プログラムの実施場所はその目的に適した場所にすること。会員企業は、名勝地や奢侈な場所を開催地に選ぶのを避けるべきである。
- プログラムへの参加者へ随行する顧客の費用を、会員企業は負担しないこと。
- 招待支出は、その場所の基準に適した中程度で合理的なものであること。(中程度で合理的とは、1人当たり1食300元を超えないという解釈である。極めて稀なケースとしてそれを超える場合は、総経理或いはそれに該当する方の承認を得ること)
- 負担する参加者の招待費用は、場所・宿泊、交通、飲食・軽食のみに制限すること。
- 会員企業は、いかなる娯楽活動或いはその他の休閑・社交活動を提供せず、また費用負担もしないこと。
- 会員企業は医療従事者に対して、個人利益となるようなプレゼント(例えばスポーツ・
- 娯楽の入場券等)を提供しないこと。現金及び現金代替物の提供も禁止する。
【第8条.サンプル品】
- 中国の法律法規に基づき、医療従事者が当医薬品に関する知識を充分に理解した上で、会員企業が直接医療機関に対して限られた数のサンプル品を提供すること。またその際、資格を持つ第三方がサンプル品を輸送すること。
【第9条.臨床研究と透明性】
- 会員企業は臨床試験への申請参画に関する情報の透明性を高めること。
- またそれに関する情報公開において、プライバシー・知的財産権・契約利益が保護されており、特許法なども順守されていること。
【第10条.医療衛生組織とのインタラクション】
- 医療衛生組織へ財務的な援助をする際、基本原則を順守すること。 (名声ある医療機関を対象とし個人や特定科室を対象としない。事前にデューデリジェンスを行う。等)
- 財務的な援助の目的は、医療従事者が疾病治療領域や予防方法などの医療情報を把握するよう支援することである。これにより医療従事者の診療知識が向上され、また全体的な医療衛生サービスレベルの向上にも結び付く。
【第11条.患者組織とのインタラクション】
- 患者組織と協業する際、会員企業はそれを必ず声明として発表すること。いかなる会員企業も、患者組織との間で独占支援の形にならないこと。
- 患者組織主体の会議へ、会員企業は財務的な支援を提供することが可能。ただしその会議の主要目的が、専門性・教育性・科学性の性質を持つものであることが前提。
【第12条.医学教育への継続的なサポート】
- 医学教育活動・プログラムへ教材を提供する際、公平性・全面性・客観性が保たれ、異なる理論や観点が含まれた内容であること。
【第13条.企業が担う手続き・職責】
- 会員企業は、関連する法律や基準が順守されるよう、健全で適切な仕組みを構築すること。またそれらが実施されていることを監査・コントロールすること。
- 会員企業は、充分な知識や関連資格を持つ社員を1名雇用し、その者が医薬品プロモーション資材を確認・審査すること。或いは1名の高級職員が充分な資質を持つ科学研究人員の指導の下、医薬品プロモーション資材を確認・審査すること。
【第14条.本行動基準の違反に対する意見提出】
- RDPACは会員企業に対して、本基準への違反行為があった際の連絡を奨励する。
既に社内のコンプライアンス規程などで対応済みの企業も多いと思う。
今回RDPACから発表されたプロモーションコードの内容が、外資系だけではなく国内メー
カーにも広がっていくことを期待したいと思う。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。