はじめに
ここ数日、中国国内での新型コロナ感染が広がっている。
上記の国家衛生健康委員会による発表だと、2021年8月3日の新規感染者数は以下だった。
新規感染者数:96例
・うち、海外からの流入:25例
・うち、国内での発症:71例(江蘇省35、湖南省15、湖北省9、山東省6、雲南省3、河南省2、福建省1)
こちらは、江蘇省揚州市公安局のWeibo上に掲載されていたものだ。
今回騒がれているデルタ株の感染者が多い江蘇省南京市に住む女性が、感染の疑いがあるにも関わらず親戚のいる江蘇省揚州市へ数日間滞在。2021年7月29日に、揚州市公安局はこの女性を立件調査したという公式発表だ。
ちなみに2021年7月20日~8月3日における、揚州市の累計感染者数は126例。
2021年8月1日には、揚州市内から他都市への移動が原則禁止された。
新型コロナウイルスに対応すべく、中国メーカーによる治療薬の開発も進められている。
今回はこちらの内容を紹介したい。
中国メーカー コロナ治療薬の開発状況
1つ目に紹介するのは、2009年設立された開拓薬業(KINTOR)社の開発する“普克鲁胺(Proxalutamide)”だ。
【以下、KINTOR社の発表内容より抜粋】
・2021年5月に米国FDAから、入院コロナ患者に対する臨床試験(PhaseⅢ)の同意、及び中等症コロナ女性患者に対する臨床試験(PhaseⅢ)の同意を得た。
・2021年6月にブラジルの薬品監督部門から、中等症コロナ男性患者に対する臨床試験(PhaseⅢ)の承認を得た。
・2021年7月にパラグアイの国家公共衛生社会福利部門から、入院コロナ患者に対する緊急使用許可が認められた。
・2021年7月に、上海復星医薬産業発展有限公司(FOSUN社)とのライセンス契約を締結。インド及びアフリカ28か国において、Proxalutamideの緊急使用許可申請手続き、プロモーション及び販売活動を共同推進することが決まった。同時に、FOSUN社はProxalutamideの独占販売権を取得。KINTOR社は5.6億元以上を受け取る契約内容となった。
(KINTOR社ホームページより)
2つ目に紹介するのは、腾盛博药生物科技有限公司(Brii Bioscience社)傘下の腾盛华创医药技术(北京)有限公司が開発する“BRII-196”及び“BRII-198”だ。
こちらは、BriiBioscience社、清華大学、深圳市第三人民医院が2020年3月に共同設立した会社だ。
【以下、Brii Bioscience社の発表内容より抜粋】
・2021年7月、中国においてこれら2製品の臨床試験(PhaseⅡ)が開始された。中国工程院と鐘南山医師がリードしながら、北京地坛医院・广州市第八人民医院・深圳市第三人民医院などで臨床試験が進められている。
(BriiBioscience社ホームページより)
さいごに
中国系の新薬メーカーの方と話す際、彼らから以下の言葉をよく耳にする。
【中国製薬会社について】
・過去:Me-too(ジェネリック薬による基本医療の提供)
・現在:Best-in-Class(イノベーション薬の開発・販売へ参入)
・未来:First-in-Class(オリジナル薬イノベーション薬の開発、世界をリード)
1人・2人からではなく、複数の方々が上記の言葉を唱えている。
中国製薬企業の目指すべき指針として、共通認識が形成されているのだろう。
今回は、中国メーカーのコロナ治療薬開発状況に関して紹介した。
勢いを増す中国系新薬メーカーの状況についても、引続き発信していきたいと思う。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。