はじめに
本日は、先ず上記スライドをご覧いただきたい。
2018年までのものだが、基層医療衛生機構を含む公的医療機関の医療収入額と比率を纏めたものだ。
「分級診療が進んでいるはずなのに、なぜ城市医院の比率がこんなに高いのか?」
このような疑問を感じられた方もいるだろう。
衛生健康委員会発表の《2020年我国衛生健康事業発展統計公報》だと、“診療延べ人数”の構成比は以下となっている。
・三級医院:23.3%
・二級医院:15.0%
・一級/未定級医院:4.6%
・基層医療機構:53.2%
・その他:3.9%
上記2つの「収入額ベース」と「診療人数ベース」の違い。
慢性病通院患者は基層医療衛生機構へ行くようになったが、入院・手術といった高額治療は未だ城市医院にて行われているためと考えられる。
今回は、分級診療に関して取り上げていきたい。
分級診療に関する主な政策
“看病難(治療してもらうのが難しい)”という社会的な問題を解決すべく、2015年9月に分級診療に関する具体的な考えが発信された。
主な政策を簡単に振り返りたい。
・2015年9月《关于推进分级诊疗制度建设的指导意见》
・2016年12月《“十三五”深化医药卫生体制改革规划的通知》
・2017年4月《关于推进医疗联合体建设和发展的指导意见》
・2019年5月《关于推进县域紧密型医疗卫生共同体建设通知》
・2020年9月《紧密型医共体评判标准与监测指标体系》
分級診療実現に向けて、「医連体(医療連合体)」やら「医共体(医療服務共同体)」やら、様々なグルーピングの概念が出てきている。
現状、どのようなものが存在するのだろうか?
4つの医療衛生連合体モデル
国家衛生健康委員会などからの発表文書を基にすると、医療衛生連合体モデルは上記4つにまとめられる。
あくまでこれらは国の考える全体構想であって、今後これがどの程度実現されるかは継続的なウォッチが必要だ。
(前述したとおり、医連体の考えは4年以上前から出ているが、医療機関と言っても大学系・企業系など様々な既存グループがあり、一色単に地域レベルでの連携体制を構築するのは難しい状況だ。)
さいごに
“看病難”の解決に向けて、これまで様々な政策が打ち出されてきた。
以前は都市部の三級医院でよくあった長蛇の列も、予約システムの構築、慢性疾患患者の基層・薬局への分散といった施策により、かなり解消されたと言える。
しかしご存じの通り、中国は国土が広く、国民も多い。
全国民の医療アクセシビリティ向上へ向けた対応は、まだ始まったばかりと言える。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。