はじめに
2021年7月26日、新たな商業健康保険商品である“北京普惠健康保”が発表された。
簡単に概要を紹介しよう。
(費用)
・参加費は195元/年、最高300万元の医療費を保障
(参加条件)
・北京市の基本医療保険加入者(都市従業員基本医療保険、都市住民基本医療保険など)
(参画企業)
中国人民保険・中国人寿・泰康保険・中国太平洋保険・中国平安など
(カバー対象)
・医療保険対象の入院・外来費用自己負担分
・医療保険対象外の入院費用自己負担分
・25種類の国内上市済み高額医薬品費用
・75種類の国外医薬品費用
「25種類の国内上市済み高額医薬品」だが、リストを見ると殆どが抗癌剤だ。
また医保定点医療機関だけでなく、指定された19店舗の薬局も対象条件に含まれているのが特徴的だ。
患者の北京→海南楽城への流れ
「75種類の国外医薬品」だが、こちらは海南省の博鳌(Boao)楽城にある指定医療機関で使われる中国未上市の医薬品(或いは未承認の適応症)が対象となっている。
具体的には、博鳌恒大国際医院・博鳌超级医院などが対象医療機関として指定されている。
つまり、海南博鳌楽城の医療機関で対象となる75種類の国外医薬品の治療を受ける際、この北京普惠健康保に入っていれば、保険金50万元まで保障されるというものだ。
これにより、北京市患者を海南博鳌楽城へ呼び込むプロセスが促進されるとともに、また製薬企業にとっては海南楽城でのリアルワールドデータによる審査スピード向上を図れる。
さいごに
本スライドは、2020年6月に出された《海南自由貿易港博鳌楽城国際医療観光先行区条例》を纏めたものだ。
今回紹介した内容は、青字箇所の取り組みの1つと言える。
市民の経済的負担を軽減したい北京市医療保障局、実績を増やしたい海南博鳌楽城医療観光先行区、上市スピードを促進したい製薬企業など、各ステークホルダーの思惑が一致して開発・販売されたと考えられる、今回紹介した北京での商業健康保険。
他の地域でもこのような動きが促進されるのか、今後も注視していきたい。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。