今回は久しぶりに、大湾区政策に関して紹介する。
(大湾区とは、広東9都市・香港・マカオを指す)
(広東9都市とは、広州市・深圳市・珠海市・佛山市・惠州市・東莞市・中山市・江門市・肇慶市を指す)
【大湾区政策 6つの重点施策】
① 広東9都市指定医療機関における香港・マカオ上市済み医薬品・医療機器の使用
② 9都市で《医療機器監督管理条例》第11条第2項を暫定的に止める
③ 大湾区センターの建設
④ 漢方薬ハイテクパークの更なる発展
⑤ 大湾区における医薬品市販承認取得者(MAH)・医療機器登録者制度の改革
⑥ 広東省中山市に医薬品通関地を設立
※上記は2020年11月25日発表の《広東・香港・マカオ大湾区 医薬品・医療機器監督管理イノベーション新発展方案》より抜粋したもの。
上記①(香港・マカオ上市済み医薬品・医療機器の使用)に関して、これまでは広東省内の5つの医療機関だけが認められていた。
【第1次指定医療機関】
- 香港大学深圳医院(三級甲等総合医院、深圳市)
- 广州现代医院(二級総合医院、広州市)
- 广州和睦家医院(二級医院、広州市)
- 珠海希玛林顺潮眼科医院(二級専科医院、珠海市)
- 中山陈星海医院(三級中西医結合医院、中山市)
※2021年1月より上記医療機関にてパイロット開始
※カッコ内は各医院のHP等を基にした情報
2023年2月22日、広東省衛生健康委員会から新たに14の医療機関を対象にする旨が発表された。
【第2次指定医療機関】
- 中山大学附属第一医院(三級甲等総合医院、広州市)
- 中山大学孙逸仙纪念医院(三級甲等総合医院、広州市)
- 南方医科大学南方医院(三級甲等総合医院、広州市)
- 广东省人民医院(三級甲等総合医院、広州市)
- 广州市第一人民医院南沙医院(三級総合医院、広州市)
- 广州希玛林顺潮眼科医院(二級専科医院、広州市)
- 广东祈福医院(三級中西医結合医院、中山市)
- 深圳市前海蛇口自贸区医院(三級総合医院、深圳市)
- 深圳禾正医院(三級総合医院、深圳市)
- 深圳希玛林顺潮眼科医院(二級専科医院、深圳市)
- 珠海市人民医院(横琴院区)(三級甲等総合医院、珠海市)
- 佛山复星禅诚医院(三級甲等総合医院、佛山市)
- 东莞松山湖东华医院(三級総合医院、东莞市)
- 东莞光明眼科医院(三級専科医院、东莞市)
※カッコ内は各医院のHP等を基にした情報
今回追加された14軒について、以下の現象が挙げられる。
- 大病院である三級甲等総合医院が+6軒追加
- 人口の多い都市の医院が追加(広州市:+6軒、深圳市:+3軒)
- 眼科専門の民営医療機関である希玛林顺潮眼科医院グループ。第1次では珠海が入っていたが、今回広州と深圳が追加された。
広東省薬品監督管理局のデータによると、これまでに指定医療機関での使用が認められた数は以下である。(2021年1月1日~2023年2月12日)
- 医薬品:23品目(46回の承認回数)
- 医療機器:13品目(15回の承認回数)
- のべ1,789人の患者さんへ使用
2021年8月27日に広東省薬品監督管理局などから共同発表された《广东省粤港澳大湾区内地临床急需进口港澳药品医疗器械管理暂行规定》によると、麻酔薬、精神薬、興奮剤リスト内の一部製剤等は、大湾区臨床緊急ニーズの対象外となっている。医療機器の場合は、香港・マカオの公立医療機関で使用されており、且つ臨床緊急ニーズが高く先進性のある医療機器が対象となる。(対象の医療機器リストは動体調整あり)
この制度を利用するためには、指定医療機関がその都度申請しなければならない。中国内陸で未承認の医薬品・医療機器を使用するため、この面は致し方ない。しかしながら、2回目以降の申請手続きを簡素化する文書(※)も発表されており、利便性は向上している段階だ。
※2022年6月20日、広東省薬品監督管理局・衛生健康委員会発表の《大湾区の内陸指定医療機関における、非初回仕様の臨床緊急ニーズのある香港・マカオから輸入した医薬品・医療機器の申請ガイドラインの通知》
長々と書いてしまったが、大湾区政策についてはこれまでも本ibg Healthcare Newsで取り上げてきたので、そちらも参照いただきたい。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。