はじめに
先日のibg Healthcare Newsでは「医療機関への5か年指導原則(2021~2025年)」を紹介したが、また国家衛生健康委員会から医療機関に対する要求が発表された。
2022年1月29日、国家衛生健康委員会内の科技教育司より《医療衛生機関 科学研究用人類生物サンプル管理暫定弁法(意見募集稿)》が発表された。
意見収集の期限は2022年2月28日となっている。
関連する文書として、2021年4月15日施行開始の《中華人民共和国生物安全法》や、2019年7月1日施行開始の《中華人民共和国人類遺伝資源管理条例(国務院科学技術行政部門)》などがある。
今回の《科学研究用人類生物サンプル管理暫定弁法(意見募集稿)》は衛生健康委員会から発表されたものであり、「衛生健康委員会から、中国国内の衛生医療施設へ出された、中国人生体サンプルの管理方針」と捉えることができる。
今回のパブコメ内容
今回の《管理暫定弁法》は、以下で構成されている。
・第一章 総則
・第二章 サンプルの採取
・第三章 サンプルの保管
・第四章 サンプルの使用・共有
・第五章 監督管理
・第六章 附則
上記スライドは、主に第一章~第四章の内容をスライド1枚にまとめたものだ。参考いただければと思う。
今回の文書で興味深いのは、情報の「集中管理」と「共有」である。
(第23条 情報集中より抜粋)
・医療衛生施設は情報システムを構築し、当施設が採取・保管したサンプルの電子情報を管理しなければならない。
・電子情報には、提供者の同意書・サンプル提供の背景情報等が含まれ、またできる限り採取時の流行疫学資料・サンプル分析前の変量・サンプル保管等の関連データ・訪問情報などと対応するよう管理すること。
・またそれらの情報を一元管理し、更に定期的なバックアップも要求する。
(第29条 共有激励より抜粋)
・条件を満たす各級の衛生健康行政部門・医療衛生施設などは、サンプル共有プラットフォーム及び研究データ共有体制の構築を探索してもよい。
・積極的に強調しながら、生物サンプルの効率的な使用・共有を図って欲しい。
医療衛生施設に対する生物サンプル情報の管理方法が上記のように定義されることで、製薬メーカーや検査機器メーカーに対して今後どのような影響が出るかは、今のところ何とも言いづらい。
パブコメ意見収集後の動きも、引続きウォッチしていきたい。
さいごに
中国人の生体情報管理については、未承認のまま海外へ持ち出して処罰された例も過去には起きている。
またカルタヘナ法(遺伝子組換え生物等を使用等する際の規制措置)に関する中国の対応も今後強化されていくことだろう。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。