本年も宜しくお願いいたします。
新年最初のNew配信ということで、今回は中国ヘルスケア市場に関する以下の内容を紹介したいと思う。過去に紹介した内容と重複している点については了承いただきたい。
【中長期計画】
- 健康中国2030
- 第十四次5か年計画(2021~2025年)
- 第20回共産党大会報告(2022年10月発表)
【2023年の注目テーマ】
- NRDL更新
- VBP(国家、省、省連盟)
- 上市期間の短縮化
- 越境EC
- 地域間の医療格差解消
- 中国系メーカーの成長、海外進出
- 高齢化への対応

上記は、2016年10月に国務院から発表された《健康中国2030 計画綱要》の1枚ものスライドだ。6年以上前に発表された内容だが、【対応方針】としてまとめられている第二篇~第八篇(第4条~第29条)のフレームワークに基づき、ここ数年間は関係部署から各種政策が発表されてきた。



《健康中国2030》の途中経過報告として、2022年5月に《“十四五”国民健康計画》が発表された。
上記3枚のスライドは、《健康中国2030(2016年10月発表)》と《十四五 国民健康計画(2022年5月発表)》に設定されている評価指標をまとめたものだ。
【表の見方】
- 青字で書かれた評価指標は、今回発表された十四五で新たに設定されたもの
- 数値部分の「2015年実績」・「2020年目標」・「2030年目標」は、《健康中国2030》より抜粋
- 数値部分の「2020年実績」・「2025年目標」は、《“十四五”国民健康計画》より抜粋
【新たな評価指標(青字)について】
- 「よく運動する人の割合(%)」は、「運動習慣のある人(億人)」を単に割合へ変更したもの
- 「喫煙」、「ワクチン接種」、「精神疾患」、「近視」といった項目が、国家として対応すべき新たな指標として設定された
- 他の第十四次5か年計画でも取り上げられているが、「中医臨床科室の増加」や「医療保険基金の安定運用」についても取り上げられている

《健康中国2030》が取り扱う内容は幅広い。
「日々の健康管理」や「検査・治療」や「医療保障」といった内容だけでなく、外見面・精神面での健康管理といったニーズにも対応し、幅広く産業を発展させたいという中国政府の意図が読み取れる。
2022年12月からウィズコロナへと政策転換された中国において、「免疫力強化」・「治療薬の確保」・「精神面でのサポート」といったニーズが更に広がる可能性もあるだろう。

次に、《第十四次5か年計画》から今後のヘルスケア市場を考えたい。
上記は、複数あるヘルスケアに関する“十四五”から、6つを抜粋して簡略化したスライドだ。(スライド下半分箇所)
《全民医療保障計画》
- 「看病貴(医療費が高い)」の問題解決に向けた“十四五”がこちら
- 医薬品や医療機器に対する集中購買の目標値(例:医薬品のVBP品種数を2025年までに500種以上へ引き上げる)
- 医療保険基金の予算管理・監督管理の強化
- DGR、DIGの推進
《医薬工業発展計画》
《医療機器産業発展計画》
- 中国国内メーカーのレベル向上を目的とした“十四五”
- グローバルにおける競争力・存在感のアップや、経済安全保障に関する目標も設定されている

中国政府の発表する中長期計画として、《第20回党大会報告》からヘルスケア関連を抽出した内容を、最後に紹介する。(上記スライドの下半分箇所)
《健康中国2030》を発表した2016年10月に比べると、「高齢化対応」と「出産・養育支援」の取り扱いが大きくなっていることに気づく。
「一人っ子政策」を2015年末に廃止したが、出生数の減少傾向は止まらず、夫婦1組の子供の数(全国平均)は1.6(2015年)→1.3(2020年)に落ち込んだ。
また人口高齢化の状況は、《2021年国家老齢事業発展公報》だと以下である。
- 60歳以上人口:2億6,736万人(人口の18.9%)
- 65歳以上人口:2億56万人(人口の14.2%)
2023年の中国ヘルスケア市場を考える上で、先ずは中国政府から発表されたいくつかの中長期計画を振り返ってきた。
本日の内容はここまでとする。次回は後編パートとして、「2023年の注目テーマ」を取り上げていきたい。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。