はじめに
遂に上海市でも、城市保(都市医療保険)の販売が始まった。
以下の画面は、We-chatのInsurance機能に掲載されている上海市の城市保のものだ。地下鉄広告もたくさん出ているので、上海市に暮らしている方はご存じの方も多いと思う。
簡単に、上海市の保険(沪惠保)の内容を紹介しよう。
・対象者:年齢・上海戸籍・健康状況・職業の制限なし
・保険料:115元/年
・保険金:最大230万元(公的医療保険対象外の2万元を超える入院医療費:100万元、特定高額医薬品費:100万元、重粒子線がん治療:30万元)
・対象医薬品:21製品(抗癌剤、希少疾患薬)
今回は、城市保(都市医療保険)を取り上げたい。
城市保の現状
上記スライドは、2020年以降に販売された都市医療保険の販売状況をまとめたものだ。
これまでに合計113の保険商品が販売されており、契約件数は6,000万件に達している。
こちらは2020年以降に販売された113の保険商品について、販売年月毎に政府関与状況を整理したものだ。発売開始されて1年足らずしか経っていないため断定できないが、少しずつ政府の関与度が高まっている傾向にあるのが見てとれる。
ちなみに医療保障局の関与が大きいほど、購入率が高い傾向にある。 先程紹介した上海市の城市保も、上海市医療保障局指導のものだ。消費者心理から見ると、この傾向にあるのは当然だろう。
城市保の中身
上海市の保険(沪惠保)を例に内容を見ていこう。
上記の最終行を見て頂ければ分かる通り、既往症患者(既往歴患者)にもこの保険は適用される。ものすごく単純に言うと、既往症患者は115元の保険料を支払うことで、最大30万元(100万元×30%)の特定高額医薬品費用保険金を受け取るということだ。
これはおそらく、NRDL収載前に製薬会社が活用する特別医薬品保険と同じロジックが適用されていると考えられる。
上記は、城市保(都市医療保険)にて自社製品を出している製薬メーカーをまとめたものだ。 先述したとおり、抗癌剤や希少疾患薬が対象となっている。
さいごに
上記スライドは、2020年2月に国務院から出された《医療保障制度改革の深化に関する意見》から抽出した内容だ。
今回紹介した城市保(都市医療保険)も、この方針に基づいて出されているものである。
公的医療費抑制に向けて、VBP・NRDL国家談判・薬算加算廃止・二次価格交渉/GPO推奨など、様々な施策が打ち出されている。
それと同時に、今回紹介したような新たな仕組みも続々と登場している。
速いスピードで変化する中国医療環境。引続き参考になりそうな情報を発信していきたいと思います。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。