はじめに
2021年版国家医療保険医薬品リスト(NRDL:NationalReimbursement Drug List)の調整に向けて、企業による申請が2021年7月14日17:00までに完了した。 今後は医療保障局による形式審査が行われた後、専門家評価(8~9月)、談判(9~10月)、結果公表(10~11月)というスケジュールとなっている。
NRDL国家談判では償還基準額が決められる。 またそれを基に、その後の省入札価格が設定される。 過去の発表文書を基に、これらの内容を今一度整理してみた。
償還基準額・省入札価格の関係
上記は、償還基準額と省入札価格の関係を纏めたスライドだ。
左側は2017~2019年の各種文書、右側は2020年9月に施行された《基本医療保険償還医薬品管理暫定弁法》より抜粋している。
文章が多くて恐縮だが、2017~2019年も2020年以降も、発表文書からは以下のことが言える。
(オリジナル薬)
・NRDL償還基準額=省入札価格
(ジェネリック薬)
・NRDL償還基準額≧省入札価格
例を挙げて紹介しよう。
薬品Aは国家談判を通じてNRDL収載成功した医薬品で、償還基準額を100元とする。 この場合、オリジナル薬の省入札/落札価格は100元となる。 そのため、XX省における薬品A(オリジナル薬)の患者自己負担額は、100元-80元=20元となる計算だ。
一方ジェネリック薬の場合、保険償還額は「省入札価格(80元)」と「償還基準額(100元)」のうちから低い方を基に算出される。つまり薬品A(ジェネリック薬)の患者自己負担額は、80元-64元=16元となる計算だ。
ここ数年で大きく変わった内容なため分かりづらい点もあるが、公的医療保険抑制に向けて、このような計算ロジックに変わったことを再確認したい。
中国市場に対する今後の方針
NRDL新ルールやVBPといった政策により、ジェネリック薬/GQCE品が上市された時点で、オリジナル薬は中国市場での売上増を図りづらい状況になりつつある。 つまり特許が数年後に切れる医薬品を既存のやり方で売ろうとしても、これまでのような売上増を見込むことが難しい市場となってきている。
中国政府としては、外資企業にピカピカの新薬を中国で早期上市してもらいたいという意図があり、医療費抑制策・ICH加盟といった仕組みを構築していると想像できる。 中国独自の規制によりグローバル同時開発を推進しづらいといった様々な課題がある中、中国市場の位置づけ・パイプライン方針などを会社として明確にする段階に来ていると言える。
医療費抑制政策、海外新薬上市促進策、特許法改正、民間サービスの発展促進、医療衛生体制の改革など、個別に出されているものが、全体として見ると非常に関連している状況だ。
本ニュースも個別のトピック毎に配信しているので分かりづらい点があるかも知れないが、できる限り全体感を意識した文章を発信していきたいと思います。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。