2022年6月29日、国家衛生健康委員会と国家薬品監督管理局から以下2つの方案が発表された。
《臨床緊急需要薬品臨時輸入方案》
《クロバザム臨時輸入方案》
先ずは1つ目の《臨床緊急需要薬品臨時輸入方案》。
要するに、中国国内で未承認である海外上市済みの希少疾患薬などについて、医療機関が申請し承認されれば、その医療機関での使用を認めるという内容だ。
細かい内容は上記スライドを見ていただきたいが、海外新薬メーカーとしては、海南ボアオの代替手段としてこの方案の活用が今後考えられる。(中国の患者さんへ早期に必要な医薬品と届けるという意味で。リアルワールドデータとして臨床申請データに活用できるかどうか確かなことは言えないので、ここでの明記は控える)
承認を得た医療機関に対する管理上の要求や責任も、今回の方案内に定められている。
上記スライドにそれをまとめたので参照いただきたい。
薬剤比率制限(医院総収入に占める薬剤収入割合を30%以下にする施策)があるため、医療機関としては高額医薬品の避ける傾向にある。その代わりに使われているチャネルが、DTP薬局を始めとする薬局での医薬品販売だ。
しかしながら、希少疾患患者さんの集まりやすい全国324軒の医院(いわゆる第1次希少疾病協力ネットワーク医院)などは大病院が多く、何より海外の新薬情報に詳しいKOLが多いため、今回の《方案》を活用する可能性は高いと考えられる。
今回発表されたもう1つの方案が《クロバザム臨時輸入方案》。
中国で未承認であるクロバザムだが、海外から自身で入手し販売していた方が2021年7月に当局から起訴された。同年11月には癲癇患者の児童を持つ親達から、約1,000に及ぶ嘆願書(クロバザムを入手できずに困っている)が当局に提出された。メディアでも公開されている情報なので、興味のある方はそちらを調べていただきたい。
そのような背景下、《臨床緊急需要薬品臨時輸入方案》と共に《クロバザム臨時輸入方案》が今回出されたという訳だ。
2018年に“我不是药神(私は薬の神ではない)”という映画が放映され大ヒットした。中国で未承認の医薬品(イマチニブ)を密輸入し、違法行為として逮捕。しかしながら民衆から反対の声が挙がり、検察から不起訴された実話を映画化した話だ。
クロバザムとイマチニブの状況は異なるが、海外新薬が中国国内の患者さんへ早期に届けられるよう、新たな施策が出ていることは間違いない。
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この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。