

本ibg Healthcare Newsでこれまで何度か取り上げてきた「惠民保(都市型民間医療保険)」。
上海市の“沪惠保(2023年版)”が5月9日から発売開始され、地下鉄内のテレビ広告でよく見かけるようになった。
参考に、“沪惠保(2023年版)”の内容を紹介する。
【保険料】
- 年間129元
【医療保障額】
- 最大310万元(①公的医療保険対象外の1.6万元を超える入院医療費:100万元まで、②特定高額医薬品費用:100万元まで、③重粒子線がん治療:30万元まで、④海外特殊医薬品費用:30万元まで、⑤CAR-T治療医薬品費用:50万元まで)
- 上記「②特定高額医薬品費用」について。2022年版では25製品だったが、今回の2023年版では36製品に増加した。
- 上記「③海外特殊医薬品費用」とは、中国国内で上市未承認だが、海南ボアオの特定医療機関で処方される医薬品を指す。
【加入条件】
- 上海市の基本医療保険に加入している人
- 年齢・職業・健康状況に関わらず加入可能(身体検査も不要)
上記の上海市のような惠民保(都市型民間医療保険)が、既に中国各都市で販売されている。
以下に、2023年3月15日時点の統計データを紹介する。
【全国での惠民保の数】
- 268保険商品
- ウイグル・チベットを除く29省のいくつかの都市で販売されている
【省別の惠民保の数】
- 30商品以上:広東省(38)
- 20商品以上:江蘇省(23)、山東省(23)
- 10商品以上:浙江省(19)、四川省(18)、湖南省(16)、江西省(16)、福建省(11)、遼寧省(11)、河北省(10)
【惠民保100商品以上に収載されている医薬品】
- Kadcyla(ロシュ、抗がん剤分子標的治療薬)
- Keytruda(MSD、抗悪性腫瘍剤PD-1)
- Gavreto(基石薬業、抗がん剤分子標的治療薬)
- Venetoclax(アッヴィ、急性骨髄性白血病治療薬)
- Qinlock(再鼎、消化管間質腫瘍治療薬)
- Adcetris(武田、悪性リンパ腫治療薬)
- Darzalex(ヤンセン、多発性骨髄腫治療薬)
- Firmagon(輝凌、前立腺癌治療薬)
- Camrelizumab(恒瑞、抗悪性腫瘍剤PD-1)
- Blincyto(百済神州、急性リンパ性白血病治療薬)
- Tislelizumab(百済神州、抗PD-1抗体)
- Optune(再鼎、腫瘍治療電場療法)
- Toripalimab(君実、抗PD-1抗体)
惠民保(都市型民間医療保険)の償還比率だが、既往症患者と非既往症患者とで異なる。
例えば先程紹介した上海市の“沪惠保(2023年版)”の場合、特定高額医薬品費用は以下となっている。
- 既往症患者の場合:30%償還
- 非既往症患者の場合:70%償還
実際の給付実績については、以前上海市の“沪惠保”を対象にまとめた以下リンクの内容を参考にしていただきたい。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。