中国の社会保険は、以下の5つから構成されている。
- 医療保険
- 生育保険
- 養老保険
- 失業保険
- 公傷保険
就業者の場合、5つとも会社負担が生じ、個人負担は医療保険・養老保険・失業保険のみとなっている。
今回、「医療保険」と「生育保険」に関する2022年の統計データが発表がされたので紹介したい。
2023年7月10日、国家医療保障局より《2022年全国医療保障事業発展統計公報》が発表された。
目次は以下の通り。
第一章.医療保険
第二章.生育保険
第三章.医療救助
第四章.医療保険医薬品リスト
第五章.医療保険償還改革
第六章.医薬品集中購買
第七章.省跨り医療費精算
第八章.医療保険基金の監督管理
第九章.長期介護保険
以下に、「第一章.医療保険」の内容をまとめた。
上記は、公的医療保険への加入者数とその収支状況をまとめたスライドだ。収支には生育保険分も含まれる。
中国の公的医療保険が、「都市従業員」と「城郷住民」に分かれていること。
都市従業員基本医療保険の給付方法が、「統筹基金」と「個人口座」に分かれていること。
これらは、過去のibg Healthcare Newsでも何度か取り上げてきたので、ここでの説明は省略する
【ibgコメント】
- 医療保険基金の収入が、2021年に比べて増加している。主な要因として、中国各都市の平均給与の増加が挙げられる。(詳細は人力資源・社会保障部の発表を参照)
- 一方、支出額の伸びは収入のそれに比べると抑えられている。今回の統計発表「第四章.医療保険医薬品リスト」や「第六章.医薬品集中購買」でも少し触れられているが、NRDL国家談判やVBP(Volume Based Procurement)が要因として挙げられる。
【ibgコメント】
(医療待遇享受について)
- 以前は、「問診/急診」と「入院」の2分類に分けられていた。しかし入院件数を減らすために、一部の治療行為について「問診慢性病/特病」として保険償還されるようになった。そのため、上記スライド上部分は3分類に分けられている。
(入院について)
- 入院率の高さに驚かれるかもしれない。これは、「入院延べ人数÷加入者数」で算出された値と予想される。ただし、都市従業員の場合は「0.6億人回÷3.6243億人≒16.6%」という算出となり、17.6%と多少のずれがある。(私も詳細ロジックは不明)
- 今回の発表は“医療保障”に関するデータなため、上記スライド内の入院平均費用は保険償還分だと予想される。(自己負担分含まず)
【ibgコメント】
- 上記は、今回発表された2022年医療保障費統計データから、医薬品に関する情報を抽出・整理したスライドだ。残念ながら今回の発表に、城郷住民基本医療保険に関するデータは含まれていなかった。
- 医療機関には、公立等級医院、基層医療衛生機構、保険許可のある民営病院が含まれると考えられる。
- 薬店には、保険許可のある店舗薬局が含まれると考えられる。また薬店の場合、基本的には個人口座分しか保険に適用されない。
以上、2023年7月10日に発表された《2022年全国医療保障事業発展統計公報》の「第一章.医療保険」を基にしながら、公的医療保障費の状況をマクロ視点で紹介した。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。