2023年5月19日、国家医療保障局より《医療用消耗品 基本医療保険償還管理見直しに関する通知(パブリックコメント)》が発表された。
同時に、《状況説明》というタイトルで本パブコメに対する補足説明も発表されているので、そちらもご覧いただきたい。
上記は、今回発表された《通知》と《状況説明》から抜粋した内容をまとめたスライドだ。
簡単に言うと以下の通り。
- 現状、地域間での差異が大きく公平性に欠ける。
- 急に保険償還対象を変えるという訳ではなく、一定の時間をかけながら一歩ずつ変革していこう。
- 医薬品のやり方を参考に変えていこう。(全国統一の保険償還リスト策定、オリジナル薬・ジェネリック薬同一の償還基準額の設定など)
ここからは私の私見である。
- 医薬品では、2020年の医療保険リスト収載ルール改定以来、VBP集中購買とも連動しながら公的医療費抑制の成果を出してきたと言われている。おそらく今回の医療用消耗品に対するパブコメの目的も同様だろう。
- ご存じの通り、医療用消耗品と医薬品とでは異なる点が多い。医薬品の場合は、オリジナル薬とジェネリック薬の有効性・安全性がNMPAを通じて認められるが(一致性評価試験)、医療用消耗品ではそうはいかない。それなのに、通用名管理やそれに基づく償還基準額の設定など、かなり難しいように感じる。
- 補足すると、2019年に国家医療保障局が発表した《第13回全国人民代表大会二次会議第6395号建議に対する回答》で、「関連部署と連携しながら消耗品の一致性評価機関を作ることが今後のアクションだ」と述べられている。しかし、やはり医薬品のように進めるのは容易ではない。
- 今後の“通用名ルールを策定”だが、医療用消耗品の分類・コードデータベースを基にして国家医療保障局が策定していくと、今回のパブコメから読み取れる。
前述した「医療用消耗品の分類・コード」について。
上記は、2019年6月27日に国家医療保障局が発表した《医療保障標準化業務に関する指導意見の通知》より、「四.医療保険 医療用消耗品コード規則と方法」の内容を抜粋したもの
だ。
通用名コードは「第4部分(製品特性コード:材質・規格)」と「第2部分第三層(部位、効能、品種)」の間にあり、今回話題に挙がった“医保通用名”についても、これを参考に検討されると考えられる。
ちなみに今回発表された《状況説明》に、“医保通用名”を制定する原因が明記されている。
【以下、本文より抜粋(ibg簡易訳)】
- 長い期間に渡って、中国における上市済み医療用消耗品の数量はとても多く、種類も複雑で、価格レベルも千差万別で、地域間における保険償還範囲・基準に大きな差異が生じている。
- “医保通用名”を制定する目的は、分類を規範化した上で、適切に消耗品管理種分類を減らしながら、同時に消耗品の価格及びその臨床価値を適切なものにし、保険償還の管理方法を科学的・精緻化されたレベルへ向上させることである。
今回のパブコメでは「一歩ずつ進めていく」と書かれている。
今後発表されるだろう当通知の正式版含めて、引続き動向を注視していきたい。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。